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従業員に対する退職金

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従業員に対する退職金

お亡くなりになられた方が個人事業を営んでいた方で従業員を雇用されていた場合に、お亡くなりになった日以降、引き続き勤務している従業員に対し退職金を支給しようということを検討される相続人の方もいらっしゃることと思います。この退職金は、相続税上、お亡くなりになられた方の債務であるとして、相続財産(プラスの財産)から差引くこと(債務控除)ができるでしょうか?
お亡くなりになられた後、相続人の方が事業を承継せず、廃業の際に従業員の方を解雇された場合に支払った退職金は、債務控除が可能と解されています。
しかし、相続人の方か事業を承継した場合、退職金規程がないときはそもそもお亡くなりになった方が退職金の支払義務を負っていたとはいえませんので債務控除できません。また仮に退職金規程があったとしても、相続によって従業員の雇用契約や使用者としての地位はそのまま相続人に承継されますので、使用者の死亡によって退職金の支払い事由が発生したとはいえず、原則的には債務控除はできない、と考えられているようです。
こうした場合、退職金として支給をうけた従業員に対する税金にも影響が出てくるかもしれません。すなわち、お亡くなりになった日の前後において雇用関係が継続しており退職の事実がないと考えられるならば、その従業員の方が退職金という名目でお受取になったお金は、退職金以外のお金、つまり給料(又は賞与)として所得税などの税金が課されるからです。なお、退職金に対する税金は、給料よりも税金の負担が軽いので、いったん退職金として課税を受けたものの後から給料として課税し直されますと従業員の方に税金の追加負担が生じてきます。
こうした影響も踏まえたうえで、従業員に対する退職金の支払は慎重に考えていく必要がありそうです。

その他 配偶者が相続すると相続税はかからない?(配偶者に対する相続税額の軽減)

相続税の申告にあたりまして、ご遺族様とお話しておりますと、「配偶者(ご遺族である夫又は妻)が相続すると相続税はかからないのですよね」というご質問をほぼ必ずお受けします。
相続税には、配偶者に対する相続税額を軽減する制度があります。これは、遺産の蓄積に配偶者の方が貢献してきたことに対する配慮や、配偶者の方の相続後における将来の生活保障などの趣旨から設けられているものです。この制度は、簡単に言いますと、配偶者の方が相続された遺産額が、(1)1億6,000万円までなら相続税はかからない、(2)1億6,000万円を超えても法定相続分までなら相続税額はかからない、というものです。
しかし、この制度を利用する場合、次のとおりいくつか注意点があります。
(1)今般のご相続で、配偶者の方が遺産の大半を取得するよう遺産分割をおこない、この制度をフルに利用されて相続税額を極力減らされた(極端にはご遺族全員の相続税額をゼロ)場合、将来その配偶者の方にご相続があったときは、結局その将来において相続税を納付することになってしまう可能性があります。このことは、遺産分割を考える上で重要なポイントとなります。
(2)この制度を利用した結果、遺産を取得された方全員の相続税額がゼロになるとしても、相続税の申告書の提出は必要です。この制度の適用を受けるかどうかは、申告される方の選択なので、申告を通じてこの適用を受けます、という意思を表明しなければならないからです。申告をしなくてはならい、ということをご存知でない方がままいらっしゃいますので注意が必要です。
(3)相続税の申告の後、意図的な遺産隠しが発覚した場合や、この制度を悪用して仮装の遺産分割をおこなったことが発覚した場合などは、その発覚した遺産については、この制度の適用はありません。

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