保証債務など
お亡くなりになれた方に借入があり、その借入の額が相続財産の額を上回っている場合、まず相続の放棄や限定承認を検討されることと思います。しかし、その借入が銀行からの融資であるときは、あまり意味がないこともあります。なぜなら、銀行は個人に融資する場合はほぼ必ず、相続人の方のうち少なくとも1人以上を保証人としていたりすることが多いからです。その保証人である相続人の方は相続放棄をしても依然保証人であり続けますから、たとえ相続を放棄されても借入金の返済リスクから逃れることはできません。
一方、お亡くなりになられた方が他人の借り入れに関して保証人になっていた場合、相続税の申告において保証債務をプラスの相続財産から差引くこと(控除)ができるのか?原則としてできません。なぜなら、その借入をしている方(債務者)が現に返済を継続されている場合、保証人としての地位を承継した相続人の方がその借入金の返済を負担することになるのかどうか相続が発生した時点では確定していないからです。しかし、債務者が資力を喪失している場合は控除が認められる余地もなくはないかもしれません(相続税法基本通達14-3)。が、相続税の実務では、かなりハードルが高い、と考えられているようです。
ちなみに、銀行からの住宅ローンに関しましては、原則として団体信用生命保険(借入した方がお亡くなりになった場合等には生命保険会社によって借入金の返済がされる保険)の加入が条件となっています。このように、団体信用生命保険が付されている借入金は、相続税の申告において債務としてプラスの財産から差引くことはできません。