株式等 NISA口座
お亡くなりになられた方が、上場株式や公募証券投資信託等(以下株式等といいます)を保有されていることは良くあります。そして、実際にこれらの投資にNISA口座(少額投資非課税口座)を利用されていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。平成26年から始まったNISA口座は、毎年120万円を上限として最長5年間(つまり最大600万円)保有することができ、その間における株式等の譲渡益や配当金等に対して税金がかかりません。当初の5年間が過ぎたとき、さらに5年間、NISA口座での株式等の保有が可能です。しかし、譲渡益や配当等に税金がかからない反面、NISA口座で譲渡損失が生じても、NISA口座以外での株式等の譲渡益との損益通算や譲渡損失の3年間の繰越し控除の制度を受けることができません。また、当初の5年の期間が経過したとき、税金上その時点の時価で売却したものとされます。つまり、株式等の取得価額が、実際に取得した価額ではなく、5年経過後における時価に洗い替えされる、ということです。これらのNISA口座の特性からしますと、税金の面で果たしてメリットがあるといえるかどうか、個人的には疑問です。
いずれにしましても、NISA口座をお持ちの方がお亡くなりになった場合、その口座で保有されていた株式等はNISA口座から払い出されます。その際、税金上、お亡くなりになった日の時価により株式等を売却したものとされ、その時価で相続人の方が株式等を取得したものとして相続人の方の特定口座に移管がされます。つまり、お亡くなりになった方のNISA口座を相続人の方がそのまま引き継ぐことはできません。