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土地 先代名義の不動産

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土地 先代名義の不動産

お亡くなりになられた方の遺産の中にその方の先代や先々代の相続人の方においてまだ遺産分割がお済でない不動産はないでしょうか。また、いまだにお亡くなりになられた方のお父様やお母様の相続人代表名義で固定資産税の納税通知書が届いている不動産はないでしょうか。このような固定資産税の納税通知書が届くということは、不動産の遺産分割協議が済んでいないか、又は協議が済んでいても不動産の名義変更(登記)が済んでいないということではないかと思われます(協議が済んでいてもせめてその書面が残っていればいいのですが…)。
先代の方たちの不動産が未分割である場合、お亡くなりになった方の相続分に応じたその不動産の共有持分が遺産分割の対象となり、その持分に応じた価額を含めて相続税の申告をすることになりそうです。
相続税の申告の後、このような不動産が先代の相続人の方達によって分割され、お亡くなりになった方の相続人の方がその不動産の全部を取得された場合、相続税の申告をやり直す必要があるのかどうか、という問題があります。このような場合の取扱いは必ずしも定かではありません。しかし、この件につきましては国税不服審判所の平成10年6月23日裁決が参考になると思います。この事案は、先代名義の不動産が未分割で、この不動産の評価額のうちお亡くなりになられた方の法定相続分1/5を相続財産として相続税の申告をした後、先代の方に関する遺産分割調停があり、相続人の方がこの不動産を相続された方から代償金を受領した、というものです。国税不服審判所は、先代の遺産分割の調停により、相続人の方は不動産の代償金をお亡くなりになられた方から死亡を原因として(つまりさかのぼって)お亡くなりになった日をもって取得したものである、と判断しました。先程の件をこの事案に当てはめてみますと、先代の未分割の不動産について法定相続分で相続税の申告をした後、遺産分割により相続人の方が不動産の全部を取得した場合には、法定相続分を超える部分をお亡くなりになられた方からさかのぼって取得したことになりますので、相続税の納付額が増加することになる、と考えられそうです。あくまでも私見です。ご了承ください。
一方、先代の未分割の不動産を相続された場合の遺産分割や相続税の申告に際しましては、下記の通り、昔の法定相続分が現在の法定相続分と異なる、ということに注意が必要です。
(1)現在の法定相続分
①妻(配偶者)1/2 子1/2
②妻(配偶者)2/3 直系尊属1/3
③妻(配偶者)3/4 兄弟姉妹1/4
(2)昭和55年12月31日以前相続開始
①妻(配偶者)1/3 子2/3
②妻(配偶者)1/2 直系尊属1/2
③妻(配偶者)2/3 兄弟姉妹1/3
私も、過去、遺産分割協議がお済でない不動産を所有されていらっしゃった方の相続税の申告のお手続きをお手伝いさせて頂いたことがありました。その方はお亡くなりになる以前から、分割がお済でない不動産の名義を変更する手続きをされていたのですが、ついに完了しないまま他界されてしまいました。遺産分割協議書に署名をいただかなければならない方は、総勢20人くらいいらっしゃいました。時が経つにつれて、当初相続人であった方がどんどんお亡くなりになり、お亡くなりになられた相続人の配偶者の方やお子様が遺産分割協議に加わらなくてはならなくなってしまったからです。このようになりますと連絡をとることすら、ままならなくなってきます。また、20人のうちにお一人でもご署名を頂けない方がいらっしゃいますと、裁判所における遺産分割の調停・審判という手続きによらざるを得なくなってきたりもします。結局その方のご相続人の方も、後の世代に問題を残したくないという思いから、何とか解決されようとしていらっしゃいます。その間、多大なご心労とコストがかかることはいうまでもありません。
このように、遺産分割がお済でない先代名義の不動産はありませんか?それを整理されるのも、残す側
の大きな責務だとつくづく感じます。

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